住宅ローン審査を徹底解説

承認・減額・否決
の決定的な差

はじめに

この記事を筆者が投稿するにあたって、
これまで、数多くの方の不動産購入をお手伝いをさせていただいたこと、大変感謝致します。
その経験によって、色々な事を学びました。
学んだ事は、それを必要とする方にお伝えする事で、より良い価値が生まれると思います。
住宅ローンの審査の詳細については、一般的に語られる事が少ないため、筆者の経験則として知りえたことを、できるだけ分かり易く記載したいと思います。

この投稿は、住宅ローンの審査に止まらず、その他の融資にも非常に役立つ事だと思いますので、是非最後までお読みいただき、ご自身の今後にご活用ください。

*文面には、筆者が色々な経験をした中で得た、伝わりやすい表現を用いている場合が多々ありますので、実際の正式名称とは異なる場合があります。
又、金融機関の審査方法は非公開の事が殆どであるため、経験則に基づく解釈を用いている場合があります。
予めご了承をお願い致します。

1:金融機関の事情

住宅ローンを貸し出す金融機関には、絶対に守るべき事情があります。
それは、「人のお金(預金者・出資者)」を貸し出すため、「絶対に元本割れさせられない」という事。

そのため、金融機関は「人を信用しない」などと揶揄されることがあり、想いや感情などは排除して、エビデンスを以って、貸したお金(元本)が確実に返済される事を前提として、人の返済信用力や物件を評価します。

又、ザックリした表現をすると、「人のお金を運用し利益を出して稼ぐ商売」ですので、「貸したお金は意地でも回収できる状態を作る」というのが基本です。
要するに、
「意地でも回収できる状態」を作る事ができれば、融資が承認されます。
「意地でも回収できる状態」が、全部は無理な場合に、融資が減額されます。
「意地でも回収できる状態」が、作れなければ、融資が否決されます。

尚、評価方法の原則は殆ど一緒であり、金融機関ごとに大きな差はありません。
金融機関毎の差は、金利とサービス内容程度です。

原則は金融機関毎に差は無いため、原則を理解し、準備の整い方次第で、
希望融資額の「承認」・「減額」・「否決」が大きく違ってきます。

2:評価レポート

金融機関が住宅ローンの審査をする時の流れとして、
1・金融機関の営業の受付
2・営業のレポート作成
3・審査部への提出
4・審査部にて案件の決定(承認・減額・否決)
5・結果を営業から返答

この様な流れで、結果が皆さんに返答されます。

ここでの理解で最も大切なことは、「営業の手を離れた所で融資の可否が判断される」という事。
金融機関の営業は、皆さんの状況を具体的に聞いてエビデンスを揃え評価レポートを作成して審査部に提出します。
審査については、営業の仕事はここまでであり、そのレポートの内容によって審査部は審査を実施します。

ですから、「評価レポートの内容次第」で、融資の可否が決定すると言っても過言ではありません。
勿論、金融機関の営業は、貸出残高を増やす事が最も重要な仕事(自身の評価に繋がる)ため、故意に評価の低いレポートを作成する事はありません。
であれば、金融機関の営業の方が、評価レポートを作成しやすい状況の準備を整える事で、融資の承認を得やすくなるとも言えます。

金融機関の営業は、「貸してなんぼ」の仕事です。

又、不動産業界あるあるでは、「どこどこ銀行の誰々さんだと否決された」が、「あそこの銀行のこの方だったら承認された」という話をよく耳にします。
*この事からも、評価レポートの作成力によって、融資の額や可否に差が出ると思われます。

大雑把に言うと、しっかりと理論立てられて、具体的なエビデンスを揃えた評価レポートを作成できる状態の方は、融資が承認されるという事です。
ですから、銀行のHPなどで、「勤続年数〇年以上」・「年収〇〇〇万円以上」・という基準が記載されていますが、これは、あくまで「基準」と言っているだけで、実際にそぐわない人でも、それぞれの状況によって評価が可能な限りレポートを作成して、審査部で判断しています。

そもそも、「勤続年数」で評価はしておらず、勤続年数を元にして「別の何か」を評価しているのです。
これらのことも、具体的に解説します。

レポート内訳

3:レポートの内訳(概要)

住宅ローンの評価レポートは、大きく2つのカテゴリーに分かれています。

1:物件の価値に関する事
2:借入申込者(以下、「申込者」という。)の返済信用性に関する事

この2つの事を、「過去」・「現在」・「未来」に分けて評価し、それぞれを総合してレポートに纏めています。

これから、それぞれについて、具体的に解説を進めます。
*解説項目:2×3=6 +α(個人事業主の場合)

「過去」+「人」

【過去】
1:申込者の返済の実績 = 返済信用性 の評価

どの金融機関でも「真っ先の確認する評価項目」が、この内容です。

この項目は、申込者の過去に、借入と返済の実績の有無を確認します。
金融機関は、必ず確認をする必要があり(業務上の義務)個人信用情報を取り扱っている機関(CICなど)に情報開示を行い、実績のエビデンスを取得します。(サンプルを付けています)
ここでは、過去に返済の遅延や滞り、法的免除(債務整理・破産)などの、いわゆる「金融事故」の有無の確認と、借入実績の有無の確認を行います。

金融事故があるから全てNGという訳ではありません。
確かに、自己破産した方への融資は厳しくなりますが、信用性の度合いを評価する項目であるため、「過去」以外の
「現在」・「未来」の項目で挽回できる可能性は十分にあります。
事実、金利は高くなりますが、自己破産した方にも融資が実行された事例はいくつもあります。
あくまで、総合的な判断なのです。

逆に、過去に一度も借り入れをしたことが無い方については、融資が実行されない場合があります。
理由としては、借入と返済の実績が無いため、そもそも信用性の評価ができないためです。
ここで言える事は、「返済実績の有無」によって「返済信用性」を判断しているという事です。

極端な例としては、年収数千万円の医療従事者(士業)の方が、あまりにも忙しくて、携帯電話の料金(口座引き落とし)の1か月分を3か月程度滞納した実績があったために、信用性が無いと判断されて融資が否決された事があります。
1か月分と言っても、その前や以降は全て払っており、その月分だけが滞納状態で後日支払ったとうものです。
現在の携帯料金の支払いは、クレジットを経由しているため、この様な事が起こったと考えられます。

金融機関は、過去の借り入れ返済実績を、5年~7年間遡って確認する様です。

*以下、サンプル画像とCICのHPにて紹介されている記号の意味です。

最も良いのは、「過去7年以内にお金を借りて遅滞なく返済した実績がある」という事です。
これが「満点」であり、その他は内容により「減点」されます。

もし、「満点」では無いにしても、「時間の経過」によって傷が癒える時が必ず来ます。
融資の申し込みには、「最善のタイミング」がありますので、現在において「満点」を取れる可能性がある方は、住宅ローンを申し込むタイミングとも言えます。

【因みに】
個人信用情報には、過去の借り入れ実績と現在の借り入れ状況も載っています。
そのため、現段階で借り入れがある事を隠しても、絶対にバレてしまいます。
個人信用情報の確認の意味合いとして、過去の実績と「現在の正直な申告」を見ています。
信用とは、申告とエビデンスの合致によって生まれるものです。

尚、個人信用情報に載ってくる借り入れ状況は、「有利子」のみです。
無利子の借り入れ(例:無利子の奨学金の返済)は載っていませんので、ご注意ください。

【個人信用情報機関】
1・全国銀行個人信用情報センター(銀行取引)
開示請求:https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/

2・株式会社シー・アイ・シー(クレジット取引)
開示請求:https://www.cic.co.jp/mydata/index.html

3・株式会社日本信用情報機構(信販取引)
開示請求:https://www.jicc.co.jp/kaiji/procedure/mobile/

どちらの金融機関も、概ね上記3つに確認をしています。
ご自身でご自身の信用情報内容を確認できますので、もし興味がある方は開示請求をしてみてください。
今は、ネットで簡単に開示請求ができます。
携帯電話料金もクレジット経由していますので、個人の方でしたら、2番の開示請求が良いと思います。
*ネットで請求してPDFで受け取る方法もあり、確か1000円ぐらいだっと記憶しています。

「過去」+「物件」

【過去】
2:物件の築年数 = 価値の残り期間
*ここでは、分かり易くするために、物件=マンションとします。

過去の評価で、物件についての内容は、「築年数」だけと言っても過言ではありません。
強いて付け加えるなら、違法で無いか?(法律に則り正し物件)ぐらいです。
新築物件なら、この評価は「満点」のハズです。
中古物件の場合は、確認が必要な部分ではありますが、現在販売中の物件の殆どが違法なものではありませんので、
「築年数」が重要です。

「築年数」は、物件の評価をする時の「残りの期間」と「評価方法の分類基準」を判断するために用いています。
「残りの期間」とは、評価価値の残り期間の事であり、
80年ー築年数 と 65年ー築年数 の2種類があります。
又、この二つを分けるための方法として、「評価方法の分類基準」があり、
新耐震物件 ro 旧耐震物件 の2種類があります。

尚、新旧の分類は、原則:昭和56年(1981年)6月1日以降に建築確認を受けた建物を指します。
*注意:新築年月日ではありませんので十分に注意が必要です。又、法律に則った物件であれば、全てにおいて建築確認を受けているハズですし、業者なら無料で確認する方法を知っています。
ただし、あくまで原則論ですので、この日付より以前の建物でも、新耐震基準に適合している物件はあります。
そのため、旧耐震物件とは、新耐震基準に適合していない(証明できない)旧耐震物件という事です。

例:2021年9月1日現在で、築25年の物件の場合。
残りの期間:80年ー25年 = 55年

例:2021年9月1日現在で、築40年の物件の場合。
残りの期間:65年ー40年 = 25年
残りの期間:80年ー40年 = 40年(新耐震の場合)

住宅ローンは、長期間の融資であり、35年まで分割可能です。
*最近は、40年の金融機関もあります。
そのため、物件の残りの期間が、返済期間よりも長い場合は、最大返済期間で審査されます。
逆の場合は、物件の残りの期間が最大返済期間となり、その年数で審査されます。

2021年4月1日~、この新旧についての審査内容が色濃くなってきました。
昨年までは、旧耐震物件でも35年の融資が承認されていましたが、今年度からは、所得の高い方や公務員の方でも、この築年数(新旧の別)が要因で返済期間が短く設定され、減額や否決になるケースが増えています。

【物件を安く買って価値を高めるポイント】
この様な事情により、一般的な旧耐震物件は住宅ローンが減額や否決されるケースが増えていますので、必然的に価格が安くなります。
厳密には、建築確認日:昭和56年6月1日よりも、1日足りないだけ(5月31日だったら)で、大きく変わるという事です。
しかし、専門機関や一級建築士事務所所属の一級建築士へ依頼して検査してもらい費用を支払う事で、物件によっては、新耐震基準に適合ており証明書発行ができる場合があります。
そうすれば、安く購入した物件が大きな価値を持つことになり、基準の残りの期間が15年伸びます。

*この件の詳細は、「旧耐震の中古マンションを購入 + リノベーション」が賢い方法といえる満更でもない話。
でご紹介致します。(只今、掲載準備中。)
もし、既に検討中の物件があり、旧耐震だけど、新耐震基準に適合するか急いで確認をしたい場合は、お問い合わせください。

ここまでは、「過去」について記載しました。
「過去」の評価は、そもそもの評価範囲(基準)を決めるための評価をしています。
*案件ごとに、スタートラインを決定するイメージです。
人の信用力・返済期間などの範囲(基準)を決めたうえで、申し込みの希望である、融資額・金利・期間などを評価していきます。
そのため、個人信用情報の所で問題がある場合は、回答が早いです。
通常の審査は、1週間~2週間の時間が必要ですが、個人信用情報の段階で否決の場合(基準が設定できない場合)は、最短1日で返答がきます。
審査結果の返答は早い方が良いですが、早すぎるのは良くない場合もあります。

評価レポートを作成する前段階として「過去」を確認し、評価範囲(基準)が設定されたら次のステップ「現在」に進みます。

「現在」+「人」

【現在】
3:個人の専門的な能力 = 仕事としての需要と平均的な収入

「過去」の評価が終了したら、次のステップである「現在」の評価に進みます。
「現在」の評価で最も大切な内容は、「勤続年数」です。

・・・あれっ!?
最初の方(2:評価レポート)で、勤続年数は評価していないと言ってたじゃん、と気づいた方

その通りです!!

勤続年数のそのものには、あまり意味はありません。
勤続年数によって、その人は、
どのような会社で、どの様な地位(役職)で、どの様な仕事を、何年間したのか?(しているのか?)
それによって身に付いている、専門性(社会からのニーズ・需要)は、どれぐらいあるのか?
*筆者の会社では、このことを「パーソナルスキル・ポータブルスキル」と呼んでいます。
*どこに行っても必要とされる「専門的な能力」の事です。
国家資格も重要です。(資格職業と呼ばれる業務内容も専門性です)
逆に、民間の資格は、よほどの専門性があれば評価に値します。
*PMP、CFP、MBAとか

この事から、「勤続年数」とは、「専門的な業務経験年数」という風に置き換える事ができます。

金融機関は、過去の膨大な融資実績のデータにより、職業(役職含む)・企業の規模ごとに、平均的な需要(年収待遇)などを分析しています。
その分析結果に当てはめて、その人の専門能力(需要=給与)の妥当性を評価しています。
*このデータも、金融機関毎の差は殆どありません。

専門能力の評価であるため、同じ会社である必要性はあまり無く、同じ仕事内容(業種・種類・類似)の継続性によって評価が上下します。
*注:勿論、同じ会社で長く務める事が最も良い事であるのは言うまでもありません。
*「将来」でも触れる部分ですが、融資を実行した後に会社を辞めるかもしれないので、そうなっても大丈夫な様に評価されています。

そのため、転職して間もないというだけで、住宅ローンの審査をあきらめる必要は無いです。
以前に勤めていた会社で行っていた仕事内容(役職等含む)と、現在行っている仕事内容(役職含む)が、同じ又は類似しているなら、次のステップ「将来」の評価を上げる事ができます。
そうする事で、総合的な判断で融資が承認される場合があります。

ここで大切なことは、「過去からの繋がり」です。

【もう一つの評価】

「現在」+「人」で、もう一つの評価として、「現在年齢」があります。
「現在年齢」は、年齢によって返済期間を設定するための評価項目です。

金融機関にもよりますが、「住宅ローンの最終支払い月の年齢」が設定されています。
A銀行:82歳、B銀行:80歳、C銀行:78歳 など。
この最終支払い月の年齢 ー 現在年齢 = 最長返済期間 となります。
「過去」の物件でもあった最長返済期間の項目が、現在年齢によっても評価されています。

例:2021年9月1日現在 35歳
A銀行:82歳ー35歳 = 47年
B銀行:80歳ー35歳 = 45年
C銀行:78歳ー35歳 = 43年

例:2021年9月1日現在 47歳
A銀行:82歳ー47歳 = 35年
B銀行:80歳ー47歳 = 33年
C銀行:78歳ー47歳 = 31年

又、銀行で住宅ローンの融資を受ける場合は、「団体信用生命保険」への加入が義務です。
「団体信用生命保険」は、加入制限が60歳です。
その他、ガン特約の付保は52歳まで。など、現在年齢によって、各種サービスに制限が設けられています。
尚、健康状態によっては、事前審査は承認されても、本審査で否決される場合があります。
その要因の一つとして、「健康状態」の付属項目の評価です。
*人・物件としては問題ないけど、生命保険に入れないから融資できないという状態。
何かしらの持病をお持ちの方は、一般的な団体信用生命保険とは別で、そういう方向けの団体信用生命保険を提供している保険会社もあり、付保される場合がありますので、事前に申告して確認する事をお勧め致します。
*現在は、団体信用生命保険のサービス内容が拡充され始めています。金利は少し上がりますが、持病があるからと言って、住宅ローンの融資を受けられない訳ではありません。

ただし、団体信用生命保険に加入できない病を患った場合、時間の経過によって緩和される場合がありますが、団体信用生命保険の審査においては、過去5年以内の病歴や入院歴についても申告が必要です。

この様な事情から、現在、購入を検討中の方は、健康である内に住宅ローンの審査をお勧めしております。

「現在」+「物件」

【現在】
4:物件の現在価値(内装のリニューアル含む) = 相場観(販売価格の妥当性)

「現在」+「物件」での評価は、販売価格の妥当性がメインとなります。
又、この時点で、「物件の担保評価」を算出します。

販売の妥当性の焦点は、融資額に対して、物件と内装に分けて評価し、物件単体と内装に掛かった費用を合算して算出します。
そのため、室内のリフォームの程度が評価額に影響します。
当然、リフォームの費用が高額になれば、その分、評価も高くなります。
ただし、汎用性(広く、一般的に需要のある内装。)も付属項目として存在しますので、高額なリフォームが施されているとしても、奇抜で需要が限定される内装の場合は、それほど評価は上がりません。
あくまで、一般的な需要のある範囲での評価となります。

例:価格2000万円 内装:リノベーション済み
リノベーション費用が一般的には500万円の場合、物件そのものの価格は1500万円です。
この1500万円が極端に相場観や評価とかけ離れている場合に、担保評価が下がったり、融資額が減額になる場合があります。

その他に、妥当性の評価として、不正防止の要素があります。
不正防止とは、オーバーローンの事です。
そのため、金融機関は、物件の資料の提出を要求し、実際に販売されている状況を確認します。
主にネットで確認しますが、複数の業者が販売している場合において、価格に相違がある事を発見すると、業者が質問される場合があります。

例:3社が販売中
A社:1980万円
B社:1980万円
C社:2100万円

この時に、C社は販売価格が変更されている事を確認せずに、2100万円まま販売活動を継続してお客様に提案した場合、金融機関から、1980万円で販売している物件を2100万円(120万円)高く融資を申し込もうとしていると思われてしまいます。
単なる確認ミスだとしても、金融機関としては、120万円多いと判断されてしまいますので、減額の対象となります。

近年、一部の金融機関において、不正な融資(オーバーローン)で大きな問題になっており、厳罰化されています。
金融機関は、不正融資の防止のために色々な手段でエビデンスの確認を行い、未然に防止しているのです。

【物件の担保評価】
・物件の担保評価とは、具体的にはどの様な評価価値なのか?

「担保評価」 = リセールバリュー
リセールバリューとは、再販した時の売却価格(可能性・各自性の高い金額)の事です。

この投稿の最初の方で記載した様に、金融機関は絶対に元本割れさせない事が前提で融資をします。
この事から、物件を売却して絶対に回収できる金額は幾らなのか、と評価額を算出します。

それが、リセールバリュー です。

残念ながら、リセールバリューの算出方法は一切公表されていません。
しかし、筆者の経験則としては、ある程度は計算できると思っています。
そこから計算すると、物件の担保評価は、凡そ5割~7割ぐらいになっている様です。

例:2100万円の融資を申し込み(物件価格2000万円の物件の担保評価)
5割の場合:1000万円(残1100万円)
6割の場合:1200万円(残900万円)
7割の場合:1400万円(残700万円)
*この場合において、の方を「未来」+「人」の評価で補うのです。

【リセールバリューの算出】*憶測を含みます。
1:「過去」+「物件」の残りの期間の内、70年までをリセール期間とする。
2:同一エリアにおける、同等築年数物件の賃料相場を調査し、賃料相場から賃貸した場合の実収入を算出する。
3:DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)で、築年数70年を上限として、返済年毎の価値算出する。
4:3の合算 = リセールバリューとする
*DCF:1/(1+金利)^年目(年目:1年目・2年目・・・)
*返済期間分を年毎に算出して合計する。

例:年実収入600,000円の物件の場合(賃料7万円ぐらいの物件)
35年・金利:3.125%(住宅ローンの審査用金利)
担保評価:1,266万円
住宅ローンの融資希望額が2,100万円の場合
2100万円 ー 1266万円 = 評価残834万円
評価残834万円について、「未来」+「人」で補う。

*築70年の理由は、「旧耐震の中古マンションを購入 + リノベーション」が賢い方法といえる満更でもない話。
で詳しくご紹介致します。(只今、掲載準備中。)

評価残834万円について、頭金834万円を現金で支払う・他の不動産を担保に入れるなどをして、融資希望額を1266万円とした場合は、物件担保評価で融資額を賄えますので、融資が承認される可能性が非常に高いと言えます。
又、この場合では、金融機関としてはリスクが極端に少ない状態となるため、金利を下げてくれる場合もあります。

*注:具体的な担保評価の方法は公表されていませんので、筆者の経験則によります。

「未来」+「人」

【未来】
未来の評価方法は、現段階では全くの未公開です。
そのため、筆者の経験則と考えられる方法を考慮して、可能な限り解説致します。

5:人の返済担保評価

「未来」+「人」での評価は、物件担保評価で不足している評価残を補う評価です。
「現在」+「人」の評価で、専門能力について記載しました。
その専門能力による収入が、どれぐらいの期間を続けて得られるのか?
融資した金額の元本の回収時期は物件の担保評価額と合算して、いつ頃になるのか?

筆者の憶測の域は超えませんが、金融機関としては
物件の担保評価額 + 元本の回収予定月(金利を含む)よりも後は、全て利益になるはずです。
であれば、この期間において「未来」+「人」を評価して、担保評価を補えば良いという事になります。

しかし、そもそも、人の未来なんて分からないことだらけなので、エビデンスの作成という観点から考えると、計算可能な範囲で評価しています。
ニライ評価については、その最たる基準が、お勤めの場合は定年60歳です。
*個人事業主については、後述します。

【評価方法】
人の未来を評価するには、
「専門性(需要=収入)」・「勤め先(規模や資本金など)」・「雇用形態」
お勤めで給料をもらうとしても、勤め先に継続的な支払い能力があるのか? という問題がありますので、金融機関としては、勤め先と雇用形態を重要視しています。
*後述しますが、企業の評価は個人事業主の将来性評価と同じ考え方になりますので、詳しくは後ほどご確認ください。
そのため、一般公務員や上場企業などは、勤め先と雇用形態の評価が高くなります。
又、医者・弁護士・検事・裁判官・税理士などの超専門的な職業(資格職業であり難関資格)の場合は、専門性の評価が高くなります。

この項目は、「減点方式」ですので、スタートラインが、人それぞれに違うという事です。
最上位は、上記に記載した職業の方や有資格者です。
ここの評価が高いほど、金利は安くなり、評価が低いほど、金利や保証料が高くなり減額されたり否決されます。

ここでの評価も、現在の給料を定年までもらったと仮定して、DCF法で算出しているのではないかと思われます。

理由としては、金融機関は感情論(想い・感情・憶測)では融資をしないので、物理的に計算可能な方法と範囲は、これしか無いような気がします。
そして、そこで算出された額を元に、膨大な取引データから、勤め先企業・職種などにおける返済実績の傾向を判断し、倍率(掛け率)を当てはめて担保評価額を算出していると思います。
*倍率(掛け率)は、金融機関によって差があると思います。

【評価額の計算】*憶測の域を出ません。
評価の計算では、収入の全てで判断するのではなく、収入の一部(返済比率)で評価します。

1:現在の収入が定年まで続くと仮定して、DCF法で総額を算出する。
2:現在の年収に応じた返済比率によって、1の総額の内、返済に充てられる額を算出する。
3:評価額を勤め先や雇用形態、専門性などで倍率を当てはめ、割り戻して評価額とする。
*DCF法の計算式は、「現在」+「物件」をご参照ください。
*倍率は全く不明です。減点方式により金融機関毎に設定されていると思われます。
*転職して間もない方や個人事業主の方は、倍率が低くなると思います。

例:年齢40歳(定年まで20年) 年収400万円(基本給+ボーナス)返済比率30%の場合
2の額は、約1746万円です。
仮に、倍率が50%の場合では、1746万円×50%=873万円です。

物件の担保評価の計算で、評価残834万円でした。
経験則としては、ピッタリなのです。
恐らく、一般的な会社員の方でしたら、倍率50%なのではないかと思っています。
*尚、倍率100%は無いと考えています。

この評価額によって、金利や保証料が決定していると思われます。

この事を踏まえると、お勤めの方でしたら、定年までの期間が長い方が評価が高い事になります。
ただ、事はそんなに単純ではないと思っており、実態としては、転職が多い・少ないとか、社会人経験が長い・短いとか、男性と女性の別、仕事内容と社会情勢など、あらゆる事が加味されていると思います。
*尚、表気向きに男女差はありませんが、経験則としては、やはり男女差はあると思っています。
厳密に言うと、女性の場合は勤め先の産休制度の有無と、その時の給与補償内容など、色々な事が加味されて、現在の実収入に倍率を乗じて評価していると思います。

いずれにしても、住宅ローンは長い期間を掛けて返済する融資ですので、返済開始時期・返済終了時期は、可能な限り早い方が何かと楽だと思います。

「未来」+「物件」

【未来】
6:物件の未来価値

「現在」+「物件」の項目で、物件担保評価を算出しました。
ここでは、返済期間内において、リセールバリューを維持できるのか? この事について評価しています。
未来の人の評価は前述しましたが、未来のことは正直に言って、分からない事が多すぎます。
そのため、一定の年数を以って評価をして、その年数を経過した場合は、その次の評価方法を用いるという手法で、評価しています。
この最初の期限が、物件の場合は「築年数」だと考えられます。
しかし、一定期間を経過した後に、価値が0円になる事はありません。
建物が全く使えない状態になって、価値が無くなったとしても、土地の価値は継続的に残ります。
そのため、物件の未来価値は、少なくとも、土地の価値以下には減少しないと言えるのです。

土地の価値については、あらゆる観点から具体的な金額(数字)で表現されています。

1.固定資産税評価額
2.地価公示価格
3.路線価
4.取引事例
5.実勢価格(時価)
など

このうち、1~3までは公表されていますので、少なくとも、根拠のある価値としては説明が付きます。
この項目については、2021年9月1日現在では、ここまでしか分かっていません。

基本的には、価値が残り続けるものを対象にしているため、土地がメインだと思います。
土地には、最適用途という考え方があり、その最適用途で敷地が利用されると仮定し、土地の価格を算出します。
建物には耐用年数という考え方があり、金融機関は50年と設定しています。中古物件の場合は内装(リノベーションの施工などのプラス要因)によって、その年数を最長10年間伸ばしています。
ですから、築50年の物件をリノベーションした場合は、リノベーション費用分の価値が10年掛けて0円まで減っていきます。
そして、築70年を以って評価不可となるのだと思います。

この事から、担保評価の下限は、土地代とリノベーション費用(最長10年)の額だと予想できます。
建物の価値は、築70年で0円となり、土地代は最後まで残る。

こうして算出された、「将来のある時点」での物件担保価値と人の評価を合算して、その時点の融資の残高よりも高くなるように審査していると考えられます。

現段階(2021年9月1日現在)、予測できることはここまでです。

未来の項目については、物件は「残る価値」について、人は「転職したとしても最低限の収入(対年齢)」を合算して、「将来のある時点における」評価を算出していると思われます。

個人事業主の方

【収入の安定性の説明が重要】
+α:個人事業主の方(法人で借り入れを起こすときも同様だと思います。)

個人事業主の方で、最も説明を付けづらい項目が、「未来」+「人」の部分だと思います。
つまり、「収入の安定」という項目が、最も説明しづらいのです。

芸能人やプロスポーツ選手は、ローンが通りにくいという話を巷で耳にします。
実際に、その様です。

これまでに解説した内容を元に考えると、芸能人やプロスポーツ選手は、「過去」・「現在」については、収入や専門能力は非常に高い方が多いと思います。
それなのに、融資が受けられない場合が多いため、「未来」の項目について、しっかりと説明できる体制を整える事が大切なのです。

【個人事業主の場合】
収入は、サービス(物を含む)の提供による直接的な対価です。
対価を得るために、店舗を構えたり、HP広告・その他WEBなどを利用して集客を行い、サービスを提供していると思います。

ここで金融機関は、「水物の割合」を見ています。
「水物 = 無くなる可能性が高い(次があるのか説明できない)」という見方ですので、そもそも、評価対象に入らないのです。
逆に、「水物」以外の収入については、その収入のルート(道筋)によって評価が変動します。

例:社会インフラサービスのシェアの場合
運送業の下請けで、個人事業主で荷物の配達を請け負い、配送料を収入とする場合は、「安定」の評価があります。
ここで大事なことは、「どの運送業者の下請けなのか?」です。
その会社よって、そもそもの量がありますので、その中の一部の配達を請け負うわけですから、元請け業者の事業規模によって評価が変動します。

例:一般的な飲食業の場合
飲食業の場合は、「待つ」ことがメインです。
お店を開けて、来店した方にサービスを提供し、その対価を得ます。
そのため、「待つ」だけでは、「水物」という扱いになってしまいます。
飲食業で大切なことは、「予約の割合」や提携利用先としての集客(ビジネスホテルの朝食会場を兼務)などです。又、その予約の埋まり具合と利用者の客層・集客の連鎖(口コミ率)などが評価として考えられます。
金融機関へは、「物理的な証明」が必要ですので、顧客の数(例:会員の数など)に対して、店舗利用率を算出し、予約が入る予測値を出して、将来の収入安定性を証明します。
この算出には、過去の実績を元にすることで、過去から未来に向けて収入を説明する事ができるのです。
この算出方法は、美容室などにも使えると思います。

個人事業主の方は、得意先(仕入先・販売先)の規模やご自身の事業の会員数による予約率など、事業を支えてくれる企業や顧客の事を具体的に説明できる資料を揃えると、「未来の収入」の評価を受けられるようになります。

*2021年9月現在では、コロナの影響により、集客する事に自粛を求める世の中ですので、集客によりサービスの提供を生業とする業種の方は大変苦労されていると思いますので、早く収束して欲しいと切に願っています。

ここでの解説は、一般的な企業の方やこれからビジネスを大きくしていくための体制づくりなどのヒントにもなると思いますので参考にされてください。

例:社会インフラとして絶大な安定性があるサービス
携帯通信サービスが最も大きいと思います。
筆者が高校生の事に、「ポケベル」が流行りました。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、「何それ!?」という方も多いと思います。
家の電話で、数字を組み合わせて一文ずつ打った記憶があります。
気が付けば、かなりのメッセージを一月で送っていて、親から電話利用金が爆発的に上がって怒られました。
2021年9月現在から当時を見ると、連絡方法や言葉を伝える時間が、今よりも圧倒的に遅いと感じます。
しかし、この時には既に、連絡手段や広告・WEBなどを「持ち歩く」という事が始まっていたのですね。

インフラとは、今の社会(これからも)で無くてはならないサービスの事ですので、この様なサービスに付随するサービスであれば、説明もつけやすいと思います。

最後に

ここまでお読みいただいて、誠にありがとう御座います。
結構なボリュームがありますが、最後に、全てを纏めて解説致します。

【評価レポート】

1.「過去」+「物件・人」
2.「現在」+「物件・人」
3.「未来」+「物件・人」

大切なことは、
これらの全てにおいて、総合的に評価されるという事をご理解いただきたいです。
全ての項目の合計ですので、「評価できない項目」が一つでもあると、それ以外が100点でも融資は受けられないという事です。
逆を言えば、過去の評価が低くても未来の評価が高ければ、総合点で融資基準を超える事もあるのです。

物件の項目では、リセールバリューが重要ですので、販売価格に対して担保評価の割合が高い物件を探す事。

人の項目で大事なことは、過去からの「能力の繋がり」がある事・「専門性」高める事・将来に向けて「利用者の多いサービス」である事です。
「専門性」について、転職の場合は「教育が必要か?・即戦力なのか?」も含みます。

最初の方で記載しましたが、評価レポートによって審査されるので、これまでの解説を総合的に、且つ、具体的・物理的に説明できるのか否かで、融資の「承認・減額・否決」に決定的な差が生まれます。

現在、住宅ローンでお悩み中の方、事前審査を出したけど減額になった方、自分はどうなのか? など、スッキリしない方は、是非参考にしていただき、ご活用ください。

又、今のご自身は、どの様な評価レポートが作成できるのか? ご確認や今後の対応としてヒントを得たい方も、ご活用ください。

お勧めマンション

*総支払は、ローンの返済額 + 管理費等 + 固都税等の月割額 + 火災保険料の月割額の合計です。
*住宅ローンは、変動金利0.975、期間35年、元利均等払いで算出しています。
*火災保険料は800円/月にて計算しています。
*お勧めマンションは、全て新耐震基準に適合しています。
*可能な限り、近隣の駐車場を確保しています。(確保済み:◎、9月1日現在空きを確認:△)
*全て、宅建業者売主のため、仲介手数料(物件価格×3%+60000円+消費税)が不要です。

年収320万円以上の方にお勧めマンション

(◎)姪浜駅徒歩7分 近未来リノベーション 1LDK 総支払77,733円/月

渡辺通駅徒歩10分 近未来リノベーション 1LDK 総支払76,560円/月

年収380万円以上の方にお勧めマンション

(◎)貝塚駅徒歩9分 ペット可・2年前にリノベーション・即入居可 2LDK 総支払90,637円/月

年収400万円以上の方にお勧めマンション

(◎)姪浜駅徒歩8分 リノベーション 2LDK 総支払94,380円/月

(◎)姪浜駅徒歩8分 ペット可 リノベーション 2LDK 総支払95,742円/月

(△)別府駅徒歩10分 フルリフォーム 3LDK 総支払96,907円/月

今後の予定:9月下旬頃

(◎)柚須駅徒歩13分 ペット可・リノベプラン 2DK *ご自身でリノベーションしたい方向け

・実際にお勧め物件を内覧したい方。

・住宅ローンを申し込む時の事で、物件担保評価を相談したい方。

・今のご自身が、どの様な評価レポートになるか、知りたい方。

・既に検討中の物件がある方で、住宅ローンの相談や資産価値などを調べて欲しい方。

下記の、問い合わせフォームから、お問い合わせください。
又、物件の住所や名称など(ネットに掲載されている場合はURLなど)をお送りください。
調べてご回答致します。

是非、ご検討
ご内覧ください。

資料請求・現地のご案内予約・その他問い合わせは、下記フォームよりお送りください。
*ご案内は、平日10:00~19:00。土日祝10:00~18:00。

    お電話でのお問い合わせ → 092-418-1145 (担当:松尾)
    「SNSを見た」 とお伝えください。(営業時間外は転送されます。)

    【お知らせ】

    筆者は中古不動産の販売がメイン業務ですので、中古の販売を前提とした表現が多いと思いますが、
    全ての方に「購入」をお勧めはしておりません。
    購入か?賃貸か?でモヤモヤ中の方は、こちらをご一読ください。

    家は、「買うか・借りるか」一応の結論!(所要時間:7分程度)

    又、「住み方」や「住宅ローン」についても投稿していますので、お時間のある時にご一読ください。

    「住み方」を考える No1(所要時間:5分程度)

    「住み方」を考える No2(所要時間:5分程度)

    「住み方」を考える No3(所要時間:5分程度)

    住宅ローン審査と「賃料のヒミツ」(所要時間6分程度)

    もし、ご検討中の物件が既にある方で、相場や資産価値、住宅ローンの減税額など、詳しい情報を調べたい方は、こちらの投稿を参考にしてください。

    姪浜駅徒歩7分のマンションを購入する場合(所要時間:10分程度)

    *注1:住宅ローンやすまい給付金、その他記載の金額等につきましては、お客様の状況により変動する場合があります。又、融資につきましては、金融機関の審査が必要であり、結果によってはご希望に添えない場合がありますので、予めご了承ください。

    *注2:各種制度や法令につきましては、2021年9月1日現在で公開されている情報を元に解釈し掲載しています。そのため、制度の変更や解釈の相違等により、内容が変更される場合がありますので、予めご了承ください。

    *注3:販売中の物件は、状況により売却されている場合もありますので、予めご了承ください。

    *注4:住宅ローンの減税額や登録免許税等の税額につきましては、当社使用のシステムにて算出した結果を表示しています。そのため、ご成約時に士業の方などに正式な金額の算出を依頼した場合や所定の機関より提示される請求書の金額と相違する場合がありますので、予めご了承ください。

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